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製薬会社の平均年収ランキングには「からくり」がある|2026年版1位サンバイオ2022万円の読み方を元CRAが解説

2026年版製薬会社平均年収ランキング1位サンバイオ2022.9万円のアイキャッチ画像

みなさんこんにちは!あじたまごです!

2026年8月、AnswersNewsが2026年版の製薬会社年収ランキングを公開しました。

1位はサンバイオの平均年収2,022.9万円。

新薬大手のトップは中外製薬の1,350.7万円です。

この記事を見て「サンバイオって聞いたことがないけど、そんなにもらえるの?」「転職するならこの上位から狙えばいいのでは?」と思った方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、その読み方をすると、ほぼ確実に転職で失敗します

ランキングの元になっている「平均年収」は、金融庁のEDINETで公開されている有価証券報告書(有報)の数字で、これは全社員をひとまとめにした平均です。

職種別でもなければ、あなたが提示される年収でもありません。

しかも算出方法は会社ごとに違い、1年で数百万円動くこともあります。

私はCRA(臨床開発モニター)として現場を回り、その後GPM(グローバルプロジェクトマネージャー)として複数の開発案件を見てきました。

その立場から言うと、有報の平均年収は「候補企業を絞る入口」までしか使えない指標です。

この記事では、2026年版ランキングの実数字を並べたうえで、その数字に潜む4つの「からくり」を分解し、転職判断でどこまで使えるのかまで落とし込みます。

この記事のポイント

  • 2026年版ランキングは国内医薬品企業88社が対象で、全体平均は854.2万円・1,000万円超は19社
  • 上位3社はいずれもバイオベンチャーで、新薬大手トップの中外製薬は4位の1,350.7万円
  • 平均年収には「職種混在」「従業員数」「算出方法の違い」「年ごとの変動」という4つのからくりがある
  • 小野薬品工業は2025年度から算出方法を変更し、残業手当などの基準外賃金を含めている
  • ランキングは候補企業を絞る入口までに使い、最終判断は求人票の提示レンジで行うのが安全

2026年版・製薬会社年収ランキングの全体像

製薬会社年収ランキング上位5社と新薬大手6社の平均年収比較表

2026年版のランキングは、国内医薬品企業88社の2025年度・有価証券報告書ベースで集計されたものです。

88社全体の平均年収は854.2万円で、前年度から25.5万円(3.1%)増えました。

プライム上場企業を中心とした賃上げの影響が出ています。

集計対象は2026年7月24日までに直近事業年度の有報を公表した企業で、新薬メーカーのほか後発医薬品メーカー・OTC(一般用医薬品)メーカー・バイオベンチャーが含まれます。

つまり、CRAの主な転職先であるCRO(医薬品開発業務受託機関)はこの88社に含まれていません。

ここは最初に押さえておいてください。

ランキング上位5社と、その顔ぶれ

上位5社は以下の通りです。

順位企業平均年収前年度比
1サンバイオ2,022.9万円+381.7万円
2ソレイジア・ファーマ1,480.0万円+170.0万円
3シンバイオ製薬1,375.8万円+54.3万円
4中外製薬1,350.7万円+143.4万円
5ネクセラファーマ1,256.5万円▲696.4万円

1位のサンバイオはグロース上場のバイオベンチャーで、トップに立つのは2024年度以来2年ぶりです。

同社は2026年1月期に外傷性脳損傷向け細胞治療「アクーゴ」の出荷に関する承認条件解除の承認を取得し、2026年5月に販売を開始しています。

ここで気づいてほしいのが、上位3社がいずれもバイオベンチャーだという点です。

名前を聞いてピンとこないのは当然で、この3社は数千人規模の新薬メーカーとはまったく違う組織構造をしています。

この構造の違いこそが、次の章で解説するからくりの正体です。

新薬大手6社は1,100万円前後で横並び

持株会社の大塚ホールディングスを除く、売上収益5,000億円超の大手新薬メーカー6社を見ると、景色がかなり変わります。

企業平均年収前年度比備考
中外製薬1,350.7万円+143.4万円5年連続トップ・他社を200万円以上引き離す
武田薬品工業1,144.5万円+40.7万円
アステラス製薬1,131.5万円+85.3万円
エーザイ1,123.3万円+67.7万円
第一三共1,097.6万円▲16.6万円大手6社で唯一の減少
小野薬品工業1,093.5万円+76.2万円2025年度から算出方法を変更(基準外賃金を含む)

中外製薬が5年連続でトップ、しかも2番手以下を200万円以上引き離しています。

中外製薬はロシュとの関係のなかで独立経営を維持している特殊なポジションにあり、それがこの給与水準を支えている一因です。

一方で、中外を除けば大手6社は1,090万〜1,145万円のレンジにほぼ収まっています。

この「団子状態」も重要な事実です。

年収だけで大手を序列化してもほとんど意味がなく、領域・パイプライン・働き方で選ぶべきだということが数字から見て取れます。

1,000万円超が19社に増えた理由

1,000万円の大台を超えたのは19社で、前年の集計から3社増えました。

注目すべきは、この19社のうち9社がグロース上場企業だという点です。

2026年2〜3月にグロース市場へ上場したイノバセル(1,247.8万円)とジェイファーマ(1,121.7万円)も、いきなり1,000万円を超えています。

上場直後の新興バイオが軒並み高い数字を出す。

これがランキングの上位帯を押し上げている構造です。

製薬会社の平均年収ランキングに潜む4つの「からくり」

製薬会社平均年収ランキングに潜む4つのからくりの図解

ここが本題です。

有価証券報告書の平均年収には、転職判断に使う前に必ず割り引いて読むべき4つのからくりがあります

この4つを知っているかどうかで、ランキングの見え方は完全に変わります。

この章を読み終えると、「1位の会社に行けば2,000万円」という発想が消え、ランキングを使うべき場面と使ってはいけない場面を自分で切り分けられるようになります。

以下の4つを順に見ていきます。

  • からくり①:職種別ではなく全社員の平均である
  • からくり②:従業員数が少ないほど平均は跳ね上がる
  • からくり③:算出方法が会社ごとに違う
  • からくり④:1年で数百万円動く

からくり①:職種別ではなく全社員の平均である

有報の平均年収は、MR・研究職・開発職・生産技術・工場・管理部門を全部ひとまとめにした数字です。

職種別の内訳は開示されていません。

製薬会社の中でも職種によって給与テーブルは異なりますし、そもそも人数構成が違います。

国内メーカーは伝統的にMRの人数が多く、平均値はその層に強く引っ張られます。

ですから「A社の平均年収が1,100万円だから、A社の開発職も1,100万円」という推論は成り立ちません。

開発職として提示される年収は、平均より上に出ることも下に出ることもあります。

あじたまごGPM@元CRA
あじたまごGPM@元CRA

私がGPMとして中途採用の面接に関わっていた頃、「御社は平均年収1,100万円と拝見しました」と切り出す候補者の方がときどきいました。悪い印象にはなりませんが、こちらとしては「等級とポジションで決まるので、その数字はあまり関係がないんです」としか答えられないんですよね。

からくり②:従業員数が少ないほど平均は跳ね上がる

上位3社がバイオベンチャーで占められている理由がこれです。

従業員が数十人規模の会社では、少数の高スキル人材と経営層が平均値を大きく押し上げます。

新薬メーカーのように数千人の社員がいれば、若手も含めた分布全体で平均が決まります。

しかし少人数の創薬ベンチャーは、そもそも採用しているのが専門性の高い経験者中心で、若手の裾野がありません。

分母が小さいぶん、1人あたりの報酬が平均に与える影響も大きくなります。

上位バイオベンチャーはCRA求人が出にくい

    からくり③:算出方法が会社ごとに違う

    これは見落とされがちですが、実務上いちばん効いてくるポイントです。

    同じ「平均年収」という言葉でも、何を含めるかは各社の裁量に委ねられている部分があります。

    2026年版のランキングでも、小野薬品工業について「2025年度から平均年収の算出方法を変更しており、基準外賃金(残業手当など)が含まれます」という注記が付いています。

    同社は前年度比76.2万円増の1,093.5万円ですが、この増加分のうちどこまでが実質的な賃上げで、どこからが算出方法の変更によるものかは、この数字だけでは切り分けられません。

    有報の平均年収を見るときにセットで確認したいこと

    • 平均年齢(若い会社ほど平均年収は低く出る)
    • 従業員数(少ないほど個別要因で振れる)
    • 注記の有無(算出方法の変更・基準外賃金の扱い)
    • 持株会社かどうか(大塚ホールディングスのようなケースは事業会社と数字が別)

    こうした比較のクセは、役員報酬の開示でも同じことが起きます。

    開示された数字が何を含んでいるかを確認せずに横並び比較すると、簡単に結論を誤ります。

    からくり④:1年で数百万円動く

    最後のからくりは変動幅です。

    2026年版で最も減少額が大きかったのは、昨年の1位だったネクセラファーマで、前年度比696.4万円減(35.7%減)。

    減少率も最大でした。

    ほかにもモダリスが276.2万円減(31.0%減)で順位を昨年の25位から78位まで下げ、窪田製薬ホールディングスが266.3万円減(33.2%減)、ペプチドリームが217.3万円減(18.6%減)と、4社が200万円を超える減少となっています。

    逆に増えたほうを見ると、増加額1位はサンバイオの381.7万円増(23.3%増)、2位は住友ファーマの192.3万円増(27.0%増)です。

    増加額上位10社のうち9社が100万円以上の上昇でした。

    つまり、ランキングの順位は1年でひっくり返る前提で見るべきだということです。

    特にバイオベンチャーの平均年収は、業績連動賞与や人員構成の変化で大きく動きます。

    10年単位のキャリア設計の土台にするには不安定すぎる数字だと私は考えています。

    元CRAが見る「転職先としての読み方」

    ここまでのからくりを踏まえたうえで、有報の平均年収は「その会社の給与水準のレンジ感」を掴む用途に限定して使うのが正解です。

    具体的にどう読み替えるかを、3つの観点で整理します。

    開発職の年収はランキングのどこに位置するのか

    開発職(CRA・データマネジメント・生物統計・薬事など)の年収は、一般論として平均値の周辺から上振れするレンジに入りやすいと考えられます。

    専門性が求められ、英語力が要件になるポジションも多いためです。

    ただし、これは「平均年収が高い会社ほど開発職も高い」という単純な話ではありません。

    同じ年収レンジの会社でも、グローバル試験を自社で回している会社と、国内試験中心でCROに大きく委託している会社とでは、求められる役割も等級の付き方も変わります。

    自分の経歴でどのレンジを狙えるのかを掴みたい場合は、所属・経験年数・英語力から年収を試算できるシミュレーターを用意しているので、そちらで一度当たりを付けてみてください。

    あくまで一般的な目安ではありますが、ランキングの数字よりは自分の現実に近い数字が出るはずです。

    CRAが実際に転職する先の年収は、この88社の外にある

    冒頭でも触れましたが、今回の88社にはCROが含まれていません

    CRAの転職市場で実際に候補になる企業の多くは、このランキングには載っていないということです。

    CRO側の年収水準は別に把握しておく必要があります。

    CRO主要14社の平均年収を整理したCRA年収ランキングの記事と、今回のメーカー側ランキングを並べて見ると、「メーカーとCROでどれくらいの差があるのか」「その差は何に対する対価なのか」が見えてきます。

    メーカーの数字だけを見て年収に落胆する必要も、期待しすぎる必要もありません。

    住友ファーマの+192.3万円が示す、業績と年収のタイムラグ

    今回のランキングで私がいちばん実務的だと感じたのが、増加額2位の住友ファーマです。

    同社は2022年度・2023年度と2年連続で最終赤字となり、2024年度の平均年収は前年度から154.6万円減少していました。

    それが2025年度は192.3万円増(27.0%増)となり、業績の回復に伴って平均給与も3年前の水準まで戻っています。

    ここから読み取れるのは、製薬会社の年収は業績に対して1〜2年遅れて動くということです。

    転職のタイミングで見ている数字は、その会社の「今」ではなく「少し前」を映しています。

    逆に言えば、業績が回復基調に入った会社は、有報の数字が追いつく前が狙い目になり得るということでもあります。

    住友ファーマのCRA職としての実態は住友ファーマの会社選び記事にまとめているので、あわせて確認してみてください。

    なお、こうした業績と待遇のタイムラグは逆方向にも働きます。

    今の数字が高くても、パイプラインの状況次第で数年後には下がることもあります。

    数値データはあくまで一般的な目安であり、正確な情報は各企業の公式サイトや有価証券報告書をご確認ください。

    年収ランキングを転職活動で正しく使う3ステップ

    ここまでを踏まえた実践編です。

    ランキングは「使わない」のではなく「入口として使う」のが正解

    私が候補者の方に勧めている順番は次の3ステップです。

    ステップ1:ランキングは候補企業を絞る入口までに使う

    まずは1,000万円超の19社や新薬大手6社といった塊で捉え、「自分が興味を持てる領域を扱っている会社」を数社ピックアップします。

    この段階では順位そのものにこだわらないでください。

    1位と10位の差より、その会社が扱っている疾患領域と自分の経験の相性のほうが、入社後の年収の伸びに効きます。

    ステップ2:平均年齢・従業員数・注記をセットで確認する

    気になる会社が絞れたら、有価証券報告書で平均年収と一緒に平均年齢・従業員数・注記を確認します。

    平均年齢が42歳の会社の1,350万円と、平均年齢35歳の会社の1,100万円では、同年代で比べたときの意味がまったく違います。

    小野薬品工業の算出方法変更のような注記も、ここで拾えます。

    ステップ3:最終判断は求人票の提示レンジと実績で行う

    最後は、実際に出ている求人票の年収レンジと、エージェントが持っている決定実績で判断します。

    ここまで来て初めて「自分がいくら提示されるか」の話になります。

    ここで正直にお伝えしておくと、この最後のステップは自力ではかなり難しいです。

    求人票のレンジは幅が広く書かれていることが多く、そのどこに着地するかは等級判定と交渉で決まります。

    私自身、CRA時代に自分で応募して転職したときと、エージェント経由で動いたときとでは、提示された条件の詰め方がまったく違いました。

    年収交渉まで踏み込んで支援してほしい方向け

    パソナキャリアで年収レンジを確認する

    ハイクラス求人と非公開求人が中心。今の等級から狙えるレンジを具体的に教えてもらえます

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    CRA向けの転職サービスの違いや使い分けは、転職エージェントの比較記事で整理しています。

    製薬会社の平均年収のからくりと転職での正しい読み方のまとめ

    • 2026年版の製薬会社年収ランキングは、国内医薬品企業88社の2025年度・有価証券報告書ベースで集計されている
    • 88社全体の平均年収は854.2万円で、前年度比25.5万円(3.1%)増だった
    • 1位はサンバイオの2,022.9万円、2位ソレイジア・ファーマ1,480.0万円、3位シンバイオ製薬1,375.8万円といずれもバイオベンチャー
    • 新薬大手トップは4位の中外製薬で1,350.7万円、5年連続トップかつ他の大手を200万円以上引き離している
    • 1,000万円超は19社で前年から3社増え、うち9社がグロース上場企業
    • からくり①:有報の平均年収は職種別ではなく、MRから工場まで含めた全社員の平均である
    • からくり②:従業員数が少ない会社ほど、少数の高報酬者に平均が引っ張られて跳ね上がる
    • からくり③:算出方法は各社で異なり、小野薬品工業は2025年度から基準外賃金を含める方式に変更している
    • からくり④:ネクセラファーマの696.4万円減のように、1年で数百万円動くため長期のキャリア設計の土台にはならない
    • CRAの主な転職先であるCROは、この88社の集計対象に含まれていない
    • 住友ファーマの192.3万円増が示すように、製薬会社の年収は業績に1〜2年遅れて反応する
    • ランキングは候補企業を絞る入口までに使い、平均年齢・従業員数・注記をセットで確認するのが安全
    • 最終的な年収判断は、求人票の提示レンジとエージェントの決定実績で行う
    • 数値はいずれも一般的な目安であり、正確な情報は各企業の公式サイト・有価証券報告書をご確認ください

    この記事を書いた人

    あじたまごと申します!

    激務の内資系CRAから外資系CRAへ転職! その後、CTMを経て現在はPMとしてホワイト就業中! 年収100万円UPを叶えた実体験やキャリア構築のコツを発信しています。

    新卒で大手内資系CROに就職するも、毎月残業80時間超で疲弊…。
    不安を抱えながら外資系CROへ飛び込み、独自のノウハウを駆使してCRAからPMへのステップアップと環境激変を達成しました!

    あじたまごGPM@元CRA
    あじたまごGPM@元CRA
    • 新卒で大手内資系CROに就職
    • 毎月残業80時間越えで疲弊
    • 不安いっぱいのまま外資に飛び込み
    • 転職サイトと転職のコツを駆使して環境激変!ホワイト就業中

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