
みなさんこんにちは!あじたまごです!
「杏林製薬のCRA・開発職ってどんな会社?」「呼吸器や泌尿器に強いって聞くけど、年収はどのくらいなんだろう」——武田薬品工業や第一三共のような超大手ではなく、特定の疾患領域に強い日系中堅メーカーへの転職を考える中で、こうした質問をいただくことが増えてきました。
杏林製薬株式会社は、呼吸器科・耳鼻咽喉科・泌尿器科の3領域に経営資源を集中させる「FC(フランチャイズカスタマー)戦略」を掲げる、東証プライム上場の日系中堅製薬メーカーです。
過活動膀胱治療薬「ベオーバ」や抗菌薬「ラスビック」など、特定領域で高いシェアを持つ製品群を主力とし、中期経営計画「Vision 110」では新薬比率の最大化を掲げています。
武田薬品や中外製薬のように複数疾患領域を幅広くカバーする総合型とは異なり、限られた領域に経営資源を絞り込んで戦う「特化型」の代表例と言えるでしょう。
この記事では、元CRA・GPMの視点から、杏林製薬の開発職(CRA・CTM等)としての年収・社風・英語力・向き不向きを、有価証券報告書と口コミの両面から公平に解説します。
杏林製薬とはどんな会社?

杏林製薬は、呼吸器科・耳鼻咽喉科・泌尿器科の3領域に経営資源を集中させる「FC(フランチャイズカスタマー)戦略」を掲げる日系中堅の製薬メーカーで、2026年には後発品事業からも撤退し、新薬への集中をさらに強めています。
総合型の大手が幅広い疾患領域をカバーするのに対し、杏林製薬は「狭く深く」戦うタイプの会社だと理解しておくと、社風や働き方をイメージしやすくなります。
会社概要と呼吸器・耳鼻科・泌尿器に特化するFC戦略
杏林製薬株式会社は東証プライム市場に上場する日系製薬メーカーで、公式の事業概況ページでも呼吸器科・耳鼻咽喉科・泌尿器科を重点領域として明記しています。
中期経営計画「Vision 110 -Stage2-」では、主力3製品について2029年度の具体的な目標を掲げているのが特徴です。
過活動膀胱治療薬「ベオーバ」は売上270億円以上・シェア60%、経口ニューキノロン系抗菌薬「ラスビック」は120億円以上・シェア50%、肺MAC症・結核治療薬「サチュロ」は200億円以上を目指すとされています。
エーザイが認知症領域に集中する「特化型」戦略を取っているのと同じ構造ですが、杏林製薬は呼吸器・耳鼻科・泌尿器という、より生活習慣に密着した領域で勝負している点が異なります。
主力製品とパイプライン(ベオーバ・ラスビック・リフヌア・サチュロ)
杏林製薬の主力製品は、慢性咳嗽治療薬「リフヌア」、ニューキノロン系抗菌薬「ラスビック」、過活動膀胱治療薬「ベオーバ」「ウリトス」、喘息治療配合剤「フルティフォーム」、ロイコトリエン拮抗薬「キプレス」などです。
中でも注目したいのが、ヤンセンファーマから導入した結核治療薬「サチュロ」で、2026年6月から杏林製薬が単独プロモーションを開始し、肺MAC症の効能追加後は独占販売も視野に入れていると報じられています。
非結核性抗酸菌症は近年増加傾向にあるとされる感染症で、他社からの導入品を軸に呼吸器領域のパイプラインを厚くしていく動きは、CRA・開発職として関わるプロジェクトの幅を考えるうえでも押さえておきたいポイントです。
さらに、自社創製の低分子化合物「KRP-M223」を2025年3月にノバルティスへライセンスアウト(導出)したことも見逃せません。
中堅の日系企業でありながら、自社創薬をグローバル製薬企業に導出できる創薬力を持っている実例と言えるでしょう。
創業家(荻原家)による同族経営の歴史と社風
杏林製薬は、創業者・荻原廣氏の一族「荻原家」が長年経営に関与してきた同族経営の歴史を持つ会社です。
創業者の長男系(本家)と次男系(分家)に分かれ、長期にわたり両家の間に緊張関係があったとも報じられています。
2019年には、創業者の孫にあたる荻原豊氏が社長に就任し、4代ぶりにトップの座が創業家に回帰したことが話題になりました。
同族経営の会社は、意思決定の速さや理念の一貫性が強みになる一方で、外部から見えにくい社内力学が存在することも少なくありません。
転職前に企業研究をするなら、こうした経営体制の背景まで押さえておくと、面接での逆質問や志望動機の作り込みにも役立ちます。
同族経営の会社は「トップの意向で意思決定が速い」「理念が浸透しやすい」というメリットがある一方、私がCRA時代に見てきた限りでは、部署によって“本流”と“傍流”のような温度差を感じるケースもありました。面接では組織図や決裁ラインの実態まで確認しておくと安心です。
後発品事業からの撤退という戦略転換(2026年)
杏林製薬は1990年代後半〜2000年代前半にかけて後発品(ジェネリック)事業に本格参入した中堅企業の一つでしたが、毎年の薬価改定により後発品メーカーの収益性が大きく損なわれる中、2026年に後発品事業を売却したと報じられています。
2024年5月の厚生労働省検討会の報告書が引き金となり、業界全体で後発品事業の再編が本格化した流れの一環で、新薬メーカーが軒並みジェネリック市場から距離を置く動きの中に杏林製薬も含まれる形です。
つまり、杏林製薬の開発職を検討するうえでは「呼吸器・耳鼻科・泌尿器という重点領域の新薬・導入品に、これまで以上に経営資源が集中していくタイミング」であることが大きなポイントです。
後発品事業という守りの事業を手放し、攻めの新薬開発にリソースを寄せていく局面にあると考えられます。
杏林製薬の年収・給与制度は?

杏林製薬の平均年収は、有価証券報告書ベース(2026年3月期)で856万円(平均年齢45歳・平均勤続年数19.2年)と公表されています。
一方でOpenWork等の口コミサイト集計では648万〜744万円という報告があり、公式データと口コミデータの間に100万円以上の乖離があるのが実情です。
有価証券報告書ベースの平均年収(856万円・2026年3月期)
杏林製薬の有価証券報告書に基づく人事データは以下のとおりです。
| 区分 | 数値 |
|---|---|
| 平均年収(2026年3月期) | 856万円(8,563,245円) |
| 平均年齢 | 45歳 |
| 平均勤続年数 | 19.2年 |
| 単体従業員数 | 1,322名 |
平均勤続年数が19.2年と長めなことから、比較的長く同じ会社でキャリアを積む社員が多く、その分だけベテラン層が平均年収を押し上げている可能性があります。
あくまで一般的な目安であり、正確な情報は選考時に企業側へ確認することをおすすめします。
口コミサイト(OpenWork等)ベースの年収データとの乖離
OpenWorkの口コミ集計(167人分)では、杏林製薬の平均年収は648万円とされ、職種別では研究職766万円、営業職632万円、MR職621万円という結果が出ています(開発職・CRA単独の集計は確認できませんでした)。
またOpenMoneyの集計では744万円(年収範囲500〜950万円)で、業界平均913万円より169万円低いとの試算も見られます。
転職会議の口コミには「40歳で800万円、課長になると1000万円」「基本給は高くないが〜」といった具体的な事例もありました。
有報ベースの856万円と口コミベースの648万〜744万円の差は決して小さくありません。
この乖離が生まれる背景としては、①口コミ回答者の年齢層・在籍年数が有報の平均(平均年齢45歳・勤続19.2年)より若い層に偏っている可能性、②口コミ集計の母数(167人)が全従業員(1,322名)に対してかなり少ない可能性、の2点が考えられます。
年収を調べるときは、有報の全社平均だけでなく口コミの職種別データも合わせて見て、自分に近い条件のデータを参考にすることが大切です。
年収データは「会社全体の平均」と「自分と近い年齢・職種の実態」がズレることがよくあります。私自身、GPMになってから初めて全社平均年収と自分の年収の差に驚いた経験があるので、口コミサイトの職種別データまで見る癖をつけることをおすすめします。
直近決算の減益とKRP-M223導出益の反動という背景
杏林製薬の2026年3月期決算は、売上高1,262.57億円(前期比2.9%減)、営業利益35.67億円(同71.6%減)、純利益34.48億円(同62.1%減)と大幅な減益になりました。
主な要因は、前年に計上したKRP-M223のノバルティスへの導出一時金の反動減と、研究開発費への積極投入です。
一方で国内新薬はベオーバ・デザレックスの伸長により29億円の増収要因となっており、2027年3月期はさらに純利益が前期比56.5%減の見通しで、配当も減配予定とされています。
会社側は「種まき」を優先する方針として、新中期経営計画で1,200億円以上の売上目標を掲げていることから、一時的な減益局面ではあるものの、新薬・パイプライン強化への投資を続けている段階だと捉えられます。
開発職・CRAとして応募する際は、こうした業績の背景も踏まえて面接で質問できると、志望度の高さが伝わりやすくなるはずです。
CRO業界全体の年収水準と比較したい方は、CRO業界年収ランキングもあわせてご覧ください。
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杏林製薬のCRA・開発職に必要な英語力は?
杏林製薬のCRA・開発職では、外資系製薬メーカーほど高い英語力は必須とされていません。
公式に英語力の選考基準を明示している情報は確認できませんでしたが、呼吸器・耳鼻科・泌尿器という重点領域への海外からの導入品や、自社創薬品の海外導出が今後も想定されるため、英語での資料読解・コミュニケーション機会は徐々に増えていく可能性があります。
開発職が英語を使う場面
杏林製薬は、他社からの導入品(サチュロ等)や自社創製品の海外への導出(KRP-M223のノバルティス導出等)を通じて、以下のような場面で英語を使う可能性があります。
- 海外パートナー企業とのメール・契約関連資料のやり取り
- 導入・導出案件に関する英語資料の読解
- グローバル共同開発が発生した場合の英語での報告資料作成
英語力の目安と選考での扱い
杏林製薬の開発職の英語力について、公式に明確な基準は確認できませんでしたが、外資系のように選考段階でTOEICスコアによる足切りが強調されるケースは一般的に少ないとされています。
ただし、導入・導出活動が今後も継続する見込みであることを踏まえると、英語での資料読解力は身につけておいて損はありません。
今の英語力に不安がある方は、CRAは英語ができないとダメ?克服する勉強法も参考にしてみてください。
なお、実際に求められる英語レベルは配属先のプロジェクトによって幅があるため、正確な情報は応募時の求人票や面接での確認をおすすめします。
杏林製薬のキャリアパスと向き・不向き
杏林製薬のCRA・開発職としてのキャリアは、社内での昇格を軸としつつ、呼吸器・耳鼻科・泌尿器という特定領域での専門性を積みやすいのが特徴です。
向き不向きで言えば、狭い領域を深く掘り下げることに面白さを感じる人や、同族経営らしい理念の一貫性に馴染める人にマッチしやすい環境と言えます。
キャリアパス
杏林製薬の開発職のキャリアパスは、CRA・CTMとして経験を積みながらプロジェクトマネジメント層へステップアップしていくのが基本ルートです。
後発品事業から撤退し新薬・導入品に集中する局面にあるため、今後は呼吸器領域を中心に新規プロジェクトへのアサイン機会が増えていく可能性があります。
特定領域での専門性を積み上げながら、着実に年収アップを狙っていくキャリア設計が現実的でしょう。
向いている人・向かない人
向いている人:
- 呼吸器・耳鼻科・泌尿器といった特定領域で専門性を深く積みたい
- 同族経営らしい理念の一貫性・意思決定の速さに魅力を感じる
- 導入品・導出品を軸にした事業展開に興味がある
- 長く同じ会社でキャリアを積み上げていきたい(平均勤続年数19.2年という社風に合う)
向かない人:
- できるだけ幅広い疾患領域のプロジェクトに関わりたい
- 外資系のようにグローバル案件・英語業務に日常的に関わりたい
- 業績の変動(減益局面)を気にせず、安定重視で会社を選びたい
「特定領域を深く突き詰めたい」「腰を据えて長く働きたい」という人には、杏林製薬のような特化型の中堅メーカーは相性が良いと感じます。逆に「いろいろな疾患領域を経験したい」という人は、総合型の大手も含めて比較検討したほうがいいかもしれません。
杏林製薬への転職で登録すべきエージェント
杏林製薬のような日系中堅の特化型製薬メーカーへの転職では、複数の転職エージェントを併用し、非公開求人も含めて比較することが年収アップの近道になります。
同じく特定領域に強みを持つ日系メーカーとの比較には小野薬品工業の評判・年収も参考になるはずです。
転職活動の進め方や各エージェントの特徴はCRAのおすすめ転職エージェント比較をご覧ください。
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杏林製薬に関するよくある質問
杏林製薬は激務ですか?
口コミでは「社内の雰囲気は比較的良く、コミュニケーションがとりやすい」という声がある一方、部署・時期による業務量の差は他社と同様に存在すると考えられます。特に呼吸器領域の新規プロジェクトが増える局面では、担当部署によって業務量が変動する可能性があるため、面接時に担当予定の部署・業務量について確認することをおすすめします。
杏林製薬は今リストラ中ですか?
直近の報道を確認する限り、大規模なリストラ・人員削減の発表は見当たりません。ただし2026年3月期は大幅な減益決算となっており、2027年3月期もさらなる減益・減配が見込まれているため、コスト構造の見直しが進む可能性はあります。正確な最新動向は、応募時に杏林製薬の公式ニュースリリースや求人票で確認することをおすすめします。
杏林製薬に未経験からCRA・開発職として転職できますか?
一般的に杏林製薬のような日系中堅製薬メーカーの開発職は、CRA・CRO経験者を中心とした中途採用が主流と考えられます。未経験からいきなり応募するのはハードルが高いため、まずCROでCRA経験を積み、その後杏林製薬のような特化型の製薬メーカーへステップアップするルートが現実的です。
杏林製薬のCRAに英語力は必須ですか?
外資系ほど高い英語力は必須とされていません。ただし、他社からの導入品や自社創薬品の海外導出(KRP-M223のノバルティス導出等)が今後も想定されるため、英語での資料読解力を継続的に磨いておくことは長期的なキャリアにとってプラスになります。