
みなさんこんにちは!あじたまごです!
2026年8月、AnswersNewsがIQVIAジャパンの2025年市場分析をもとに、衝撃的な数字を報じました。
国内医療用医薬品市場における外資系製薬企業の総売上高シェアが49.3%まで上昇し、内資系の50.7%に肉薄しているというものです。
2020年時点では外資46.6%・内資53.4%だったので、わずか5年で3ポイント近くも差が縮まったことになります。
年平均成長率も外資3.8%に対して内資1.7%と、伸び方そのものに明確な差がついています。
このニュースを見て「業界の勢力図が変わりつつあるのは分かったけど、それが自分の転職活動と何の関係があるの?」と感じた方も多いと思います。
ですが私はGPM(Global Project Manager)として国内・グローバル双方の開発案件を見てきた立場から、この数字はCRA・開発職の求人の中身と年収の伸び方を左右する、かなり実務的なシグナルだと考えています。
この記事では、AnswersNewsが報じた市場データの中身を整理したうえで、「なぜ外資がここまで伸びているのか」という構造的な理由、そしてその変化がCRA・開発職の転職市場にどう波及するのかを、GPMとしての実務経験を交えて解説します。
最後には「外資系に転職すべきか」を判断するための3つの軸も用意しました。
外資系製薬会社の国内シェアが49.3%まで伸びた背景
結論から言うと、外資のシェア拡大を牽引しているのは「新薬」です。
既存の売れ筋製品の底上げではなく、この5年間に発売された新薬とその周辺の特許品が市場全体を押し上げ、そのほとんどを外資製品が獲得しているというのが実態です。
2025年の外資・内資 売上高とシェアの内訳
2025年の総売上高は、外資系企業33社が5兆5,435億円、内資系企業67社が5兆7,969億円でした。
企業数では内資が倍以上多いにもかかわらず、売上高の差はわずか2,500億円程度まで縮まっています。
| 区分 | 企業数 | 2025年売上高 | 市場シェア | 2020年シェア |
|---|---|---|---|---|
| 外資系 | 33社 | 5兆5,435億円 | 49.3% | 46.6% |
| 内資系 | 67社 | 5兆7,969億円 | 50.7% | 53.4% |
企業1社あたりの売上規模で見ても、外資の方がすでに大きいことがこの表から読み取れます。
IQVIAジャパンの高山莉理子マネージャーは「外資は既存特許品と新薬という『上向きの力』が非常に大きい」とコメントしており、世界的なヒット製品をそのまま日本市場に持ち込める外資の強みが、そのまま数字に表れている形です。
新薬55成分の85%が外資という数字の意味
さらに踏み込んだ数字が、2025年に薬価収載された新薬55成分の分析です。
ピーク時予測売上高は合計6,743億円で、このうち外資製品が5,749億円、比率にして85%を占めています。
100億円を超える大型品に絞ると、外資20成分に対して内資はわずか5成分でした。
これは「新薬を出せる会社」と「新薬を出しにくい会社」がはっきり分かれ始めていることを意味します。
CRA・開発職にとって新薬の数は、そのまま治験の案件数・ポジションの数に直結する指標です。
抗がん剤市場に見る外資優位の実例
領域別に見ると、抗がん剤市場の伸びが特に顕著です。
抗がん剤は市場全体の18%を占め、2025年の売上高は初めて2兆1,103億円を突破しました。
10年前と比べて2.6倍という伸び方です。
2023〜2025年に薬価収載されたがん領域の新薬34成分のうち、ピーク時予想売上高の上位10成分中9成分が外資製品でした。
ノバルティスの前立腺がん治療薬「プルヴィクト」(421億円)、BeOne Medicinesの食道がん治療薬「テビムブラ」(406億円)などが代表例です。
がん領域の治験に関わってきたCRAであれば、この偏りは肌感覚とも一致するのではないでしょうか。
なぜ内資は外資に成長率で見劣りするのか
答えを先に言うと、内資が劣っているのは「既存市場での実力」ではなく「新薬を生み出す力」の部分です。
市場全体の伸びのほとんどを、外資が持つグローバル品と新薬が占めているという構造上の問題があります。
「既存特許品」と「新薬」に絞ると差は3.4兆円に広がる
2020〜2025年の薬価収載品市場全体の増加額は1.4兆円にとどまります。
ところが「既存特許品」と「2021〜2025年発売の新薬」に絞って見ると、増加額は3.4兆円に拡大します。
つまり市場の伸びしろは、この2つのカテゴリーに集中的に偏っているということです。
長期収載品や後発品が中心の企業は、この伸びの恩恵をほとんど受けられません。
国内の中堅・中小メーカーがこのカテゴリーに多いことを踏まえると、内資全体の成長率が鈍く見える理由がここにあります。
グローバル同時開発力とパイプラインの差
内資の新薬創出力そのものが弱いわけではありません。
ただし、グローバルで同時に治験を走らせ、複数の国で早期に承認を取りにいく開発体制の規模で、外資に一日の長があるというのが私の実感です。
GPMとして海外拠点とやり取りする案件を持っていたとき、同じ疾患領域でも、外資のグローバル品はすでに10カ国以上で並行して治験が進んでいることが珍しくありませんでした。国内単独開発の案件と比べると、意思決定のスピードもデータの蓄積量もまったく別物です。CRAとして現場で数字だけ見ていた頃は気づきにくいですが、これくらいの規模の差が「新薬を出せるかどうか」に直結しています。
薬価制度・MFNなど国内特有の逆風
国内特有の要因として、薬価改定の圧力も無視できません。
2026年8月には、日本イーライリリーが「マンジャロ」の薬価引き下げを「不当に不利益な対応」と表明するなど、薬価制度をめぐる摩擦が表面化しています。
厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)では、こうした薬価の議論が継続的に行われています。
日本製薬工業協会(JPMA)も、米国の最恵国待遇(MFN)に絡む価格圧力を念頭に、官民での成長投資の必要性を訴えています。
ただし、この薬価圧力は外資・内資を問わず等しくかかるものであり、それでも外資が成長を続けられているのは、グローバル規模での収益基盤があるからだと考えられます。
この点は業界内でも意見が分かれる部分なので、断定はせず一つの見方として押さえておいてください。
シェア逆転がCRA・開発職の求人と年収に与える影響

ここが最も気になる方が多いところだと思います。
結論として、外資の存在感が強まるほど、グローバル試験に関われる求人・成果連動色の強いポジションが増える傾向がある一方で、雇用の安定性や評価の仕組みは内資と根本的に異なります。
良い面だけを見て判断すると、入社後にギャップを感じるケースが少なくありません。
外資系の求人はどう変わってきているか
外資は今回のデータが示すように、日本を含む主要市場での新薬投入を加速させています。
イーライリリーは神戸西神工場に約200億円、ベーリンガーインゲルハイムは山形工場に約550億円を投資するなど、国内での生産・開発体制への投資も活発です。
開発パイプラインが増えれば、それに応じてCRA・データマネジメント・薬事・メディカルアフェアーズなどのポジションも動きやすくなります。
一方で、外資の求人は特定の疾患領域・特定のグローバル試験にひもづくことが多く、その試験が中止・撤退になれば、ポジションごと縮小されるリスクも内資より高いという側面があります。
求人が増えているからといって「安泰」というわけではない点は、正直にお伝えしておきます。
年収レンジと評価制度の違い(成果連動 vs 年功要素)
年収面では、外資は成果連動の比率が高く、同じ等級でも評価次第でレンジの上下幅が大きくなりやすい傾向があります。
内資は年功的な要素が残りつつも、比較的レンジが安定しているというのが一般的な傾向です。
| 観点 | 外資系の傾向 | 内資系の傾向 |
|---|---|---|
| 評価軸 | 成果・目標達成度が中心 | 経験年数・チーム貢献も重視 |
| 年収の伸び方 | 早いが変動幅も大きい | 緩やかだが安定的 |
| 案件の中心 | グローバル同時開発が多い | 国内主導の開発が中心(企業差あり) |
| 雇用の安定性 | パイプライン次第で変動リスク | 相対的に安定しやすい |
具体的な企業ごとの年収水準は、ニュアンスがかなり違います。
今回のニュースで名前が挙がったノバルティスの会社選び記事など、個別企業ごとに確認しておくことをおすすめします。
GLP-1製剤で存在感を増しているイーライリリーのような企業も含め、有価証券報告書ベースの平均年収には読み方の注意点があり、製薬会社の平均年収ランキングのからくりを解説した記事も参考にしてください。
雇用の安定性・カルチャーという見落とされがちな論点
ここは正直に書きます。
外資系は「グローバル本社の一存でパイプラインが打ち切られる」「日本法人ごと縮小・撤退する」といったリスクが、内資よりも構造的に高いです。
今回のシェア拡大は喜ばしいニュースである一方、それは同時に「外資本社が日本市場をどう位置づけるか」という経営判断への依存度が高まっているとも言えます。
「外資系に転職すべきか」を判断する3つの軸

結論として、外資系への転職は「シェアが伸びているから」だけで決めるものではなく、英語力・成果主義への適性・今のキャリアステージの3つで判断するのが現実的です。
この3つを順番に見ていきます。
英語力は今どのレベルまで必要か
グローバル試験に関わるポジションでは、英語でのメール対応・電話会議・治験関連文書の読解が日常的に発生します。
TOEIC700点台でも業務は回りますが、会議で自分の意見を通せるレベルかどうかが、評価に直結する場面が多いというのが実感です。
今の英語力に不安がある場合は、転職前に業務で使う英語に絞って底上げしておくと、入社後のギャップが小さくなります。
成果主義への適性をどう自己診断するか
この3つに前向きに答えられる方は、外資の評価制度と相性が良い可能性が高いです。
逆に「明確な指示のもとで着実に積み上げたい」というタイプの方は、無理に外資を目指さず、内資で経験を深める選択も十分に合理的です。
内資で経験を積んでから外資へ、が王道である理由
未経験・第二新卒に近い層であれば、まず内資系やCROで基礎的なモニタリングスキル・GCP(臨床試験実施基準)の実務を固めてから、外資へステップアップするルートが依然として王道です。
CROの内資・外資比較についてはCRO大手おすすめランキングの記事でも詳しく整理しているので、あわせて確認してみてください。
一方で、すでに3〜5年以上の実務経験があり、英語での業務にも一定の自信がある方であれば、今回のようなシェア拡大局面はチャンスとも言えます。
外資は求人が増える局面ほど、経験者を厚待遇で迎え入れる傾向があるためです。
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、最終的な判断はご自身の状況に合わせて行ってください。
自分の経歴でどのレンジの求人を狙えるか、まずは情報収集から始めたい方は、CRA転職エージェントの比較記事である転職エージェントの使い分けガイドも参考にしてください。
グローバル案件・ハイクラス求人を中心に相談したい方向け
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