
みなさんこんにちは!あじたまごです!
「持田製薬の開発職やCRA(臨床開発モニター(CRA))ってどうなの?」「脂質異常症治療薬のリバロを作っている会社って聞いたけど本当?」——新宿発祥の中堅製薬企業への転職を考えているCRAの方から、こういった相談をいただくことがあります。
先に結論からお伝えすると、実は「持田製薬=リバロの会社」というのは正確ではありません。
リバロ(ピタバスタチンカルシウム)は興和株式会社が創製・販売する製品で、持田製薬はかつてその後発品を扱っていたに過ぎず、2021年に販売を終了しています。
持田製薬の本当の主力製品は、抗うつ薬「レクサプロ」・潰瘍性大腸炎治療薬「リアルダ」・子宮内膜症治療薬「ディナゲスト」などです。
そして今まさに、この売上トップ2製品に後発品参入の波が迫っているというのが、2026年8月時点の持田製薬を理解するうえで欠かせないポイントです。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)にも数多くの承認品目が登録されている歴史ある企業ですが、事業構造は静かに転換期を迎えています。
この記事では、元CRA・GPM(Global Project Manager)の視点から、持田製薬の開発職として働くリアルな実態——会社概要・株主構成・年収・社風・英語力・向き不向き——を、口コミ・一次情報の両面から公平に解説します。
CRA転職で見落とされがちな「主力製品の実像と特許切れリスク」、そして「東証プライム上場企業でありながら創業家の影響が色濃く残る株主構成」まで踏み込んで、転職判断の材料にしていただければと思います。
持田製薬とはどんな会社?

持田製薬株式会社は、東京都新宿区に本社を置く1913年創業の日系製薬企業で、循環器・救急・産婦人科・皮膚科の4領域を中心に医療用医薬品を開発・製造・販売しています。
2026年8月現在、東証プライム市場に上場する上場企業でありながら、創業家(持田家)の影響が色濃く残る、他の日系大手にはない独特のガバナンス構造を持っている点が特徴です。
会社概要と沿革
持田製薬は1913年2月、創業者・持田良吉が「持田商会薬局」を開業したことに始まります。
1918年に製薬所を設立し、1945年4月28日に株式会社として正式に設立、1963年には東京証券取引所に上場しました。
本社は現在も東京都新宿区四谷1-7に置かれ、資本金は72億29百万円です。
従業員数は連結1,479名・単体1,195名(いずれも2026年3月末時点)、代表取締役社長は持田直幸氏が務めています。
企業理念(社是)に「先見的独創と研究」を掲げ、2026年3月期の連結業績は売上高1,169億51百万円・経常利益111億95百万円・純利益79億3百万円でした。
CRO業界も含めた製薬業界全体の年収水準を比較したい方は、CRA年収ランキング|CRO主要14社の平均年収もあわせて参照してみてください。
上場企業でありながら創業家の影響が色濃く残る株主構成
持田製薬を理解するうえで見落とされがちなのが、上場企業でありながら実質的な同族色が強いという二面性です。
持田製薬は東証プライム上場企業であり、有価証券報告書を毎期開示しています(この点は、近年PEファンド傘下で非上場化した一部の日系大手とは異なります)。
その一方で、2025年9月30日時点の筆頭株主は公益財団法人持田記念医学薬学振興財団で、持株比率は16.05%にのぼります。
同財団は1983年に設立され、医学・薬学研究の振興を目的とする創業家系列の公益財団法人です。
さらに主要株主には、代表取締役社長の持田直幸氏をはじめ、持田健志氏・持田和枝氏といった創業家メンバーとみられる個人株主が名を連ねており、上場企業でありながら創業家の影響力が色濃く残る株主構成になっています。
私がGPMとして複数の日系企業のプロジェクトに関わってきた経験から言うと、こうした「上場企業だが実質的にオーナー系」という会社は、意思決定のスピードや評価制度の運用に独特の色が出やすい傾向があります。
OpenWorkの口コミでも「同族経営の会社であり、昔ながらの考え方の社員が多くを占めている」「慎重、安定、堅実な社風」という声が複数見られ、これは決して悪い意味だけではなく、腰を据えて専門性を積み上げたい人には合いやすい環境だと感じています。
主力製品は「リバロ」ではない?レクサプロ・リアルダ・エパデールの実像
冒頭でもお伝えしたとおり、脂質異常症治療薬「リバロ」(一般名ピタバスタチンカルシウム)は興和株式会社が創製・販売する製品であり、持田製薬の製品ではありません。
持田製薬はかつてリバロの後発品「ピタバスタチンカルシウム錠1mg/2mg/4mg『モチダ』」を販売していましたが、2021年8月30日に販売を中止しています。
求人票や一部の紹介記事で混同されることがあるため、応募前に正しく理解しておきたいポイントです。
持田製薬の実際の主力製品は、抗うつ薬「レクサプロ」(エスシタロプラム、デンマーク・ルンドベック社からの導入品)、潰瘍性大腸炎治療薬「リアルダ」、脂質異常症・閉塞性動脈硬化症治療薬「エパデール」(イコサペント酸エチル)、子宮内膜症治療薬「ディナゲスト」などです。
かつてエパデールはピーク時381億円、鎮痛薬「トラムセット」はピーク時228億円を売り上げる大型品でしたが、両品とも特許切れ・後発品参入により売上が大きく減少した経緯があります。
そして今まさに、売上トップ2製品であるレクサプロとリアルダにも後発品参入の波が迫っています。
レクサプロは2023年頃から後発品への置き換えが進み、2024年3月期上期(2023年4〜9月)は減収減益の要因となりました。
リアルダも2022年9月に再審査期間が終了しており、後発品参入が近づいている局面です。
持田製薬はこれまでも「少数の大型品」から「多数の小型品」へのポートフォリオ転換で乗り切ってきており、2026年3月期第3四半期には便秘薬「グーフィス」「モビコール」・痛風治療薬「ユリス」などの伸長により、医薬品関連事業の売上高が前年同期比8.4%増となりました。
開発パイプラインには、肺動脈性肺高血圧症治療薬候補MD-712(承認申請段階)、造血幹細胞移植後の肺合併症向けHLC-001(第Ⅲ相)、月経困難症向けMD-352(第Ⅱ/Ⅲ相)などが控えています。
「リバロの会社」という思い込みで応募して、面接で製品ラインナップの話になったときに話が噛み合わない、というのは実際にありがちな失敗パターンです。持田製薬に限らず、求人票やまとめ記事の情報だけで会社を理解した気になるのは危険です。面接前には必ず公式サイトの「主要製品」ページとIR資料に一度は目を通しておくことをおすすめします。
持田製薬の社風・口コミ傾向
OpenWorkの口コミ集計をもとにすると、持田製薬の社風には以下のような特徴が見られます。
- OpenWork総合評価は2.89点/5.0点満点(230人の正社員回答)。待遇面の満足度2.6、法令順守意識は4.5と全項目中最高スコア
- 月間平均残業時間25.5時間、有給休暇消化率58.7%、育休取得率は男性77%・女性100%と、ワークライフバランス面では比較的良好な指標
- 「安定した年収」「子育てしやすい環境」「女性・男性問わず働きやすい」という肯定的な声がある一方、「パイプラインが乏しく将来性に不安」「縦割り感と仕事の押し付け」「年功序列で良くも悪くも堅い会社」という指摘も見られる
- 検索した範囲では、田辺三菱製薬・住友ファーマ・武田薬品などのような大規模な早期退職・希望退職制度の公式発表は確認できず、口コミでも「リストラを実施しないと経営陣が公言しており安心して働ける」という声がある(ただし将来にわたる確約ではない点には留意が必要)
持田製薬のCRA・開発職に必要な英語力は?
持田製薬の開発職で必須とされる公式なTOEIC基準は確認できませんでした。
ただし国際共同治験やグローバルパイプラインへの対応を考えると、業界一般の英語力目安は押さえておく必要があります。
開発職が英語を使う場面
持田製薬のような内資系の中堅製薬企業でも、開発職が英語を使う場面は珍しくありません。
- 国際共同治験(グローバル試験)における英語プロトコル・資料の読解
- 導入品(レクサプロ等、海外製薬会社からのライセンス品)に関する海外本社とのやり取り
- 米国で進行中の医療機器パイプライン(神経修復デバイス等)に関する英語資料の確認
英語力の目安
業界一般の目安としては、内資系のCRO・製薬メーカーでTOEIC600点以上、外資系CROでは750点以上が求められる傾向があるとされています。
ただし、これは業界全体の傾向であり、持田製薬固有の公式基準ではない点に注意が必要です。
応募前には、求人票やエージェントを通じて最新の英語力要件を確認しておくと安心です。
「ついていけないかも」という不安がある方は、CRAは英語ができないとダメ?勉強法と本当に必要なレベルの記事もあわせて参考にしてみてください。
持田製薬の開発職の年収・待遇は?

持田製薬の平均年収は、算出方法によって大きな差があります。
有価証券報告書ベース(公式データ・2026年3月期)では842万円である一方、口コミ集計では639万〜724万円と、120万〜200万円ほどの開きがあります。
開発職に特化した公式データは確認できていないため、複数のデータソースから推測できる範囲で解説します。
年収の目安(データソース別)
各種データをもとにした年収の目安は以下のとおりです(あくまで目安であり、公式ではありません。
正確な情報は採用面接・求人票でご確認ください)。
| データソース | 年収目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 有価証券報告書ベース(2026年3月期・日経公式) | 842万円 | 平均年齢43.1歳・平均勤続16.5年 |
| OpenWork集計① | 670万円 | 正社員230人中125人回答、範囲350万〜1,350万円 |
| OpenWork集計②(職種別・開発職) | 724万円 | 119人回答のうち開発職の平均値 |
| OpenMoney集計 | 716万円 | 35件の回答 |
| エン・カイシャの評判集計 | 639万円 | 正社員76人の回答 |
| CRA業界全体の参考値(日系平均) | 556万円前後 | 業界一般の目安 |
CRA業界全体の日系企業平均が556万円前後とされていることと比較すると、持田製薬の年収水準(口コミベースでも639万〜724万円、有報ベースでは842万円)はいずれも上回っていることがわかります。
有報の平均年齢43.1歳・平均勤続年数16.5年という数値の高さから、年功的な給与カーブで長期勤続者が平均を押し上げている可能性が考えられます(あくまで推測であり断定はできません)。
開発職の口コミ平均724万円は、医薬品・医療機器業界平均(712万円前後)と比較しても遜色ない水準です。
CRAが年収1000万円クラスを目指すルートについては、別記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
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働き方・福利厚生
OpenWorkのデータによると、月間平均残業時間は25.5時間、有給休暇消化率は58.7%、育休取得率は男性77%・女性100%となっており、ワークライフバランス面では比較的良好な水準です。
「子育てしやすい環境」「女性・男性問わず働きやすい」という口コミも複数あり、安定志向の働き方を求める方には合いやすい環境といえます。
一方で「年功序列で良くも悪くも堅い会社」「20代の成長環境には物足りなさを感じる」という声もあるため、若手のうちから裁量を持って働きたい方は、面接時に実際の業務範囲や裁量の大きさを確認しておくことをおすすめします。
持田製薬のキャリアパスと向き・不向き
持田製薬の開発職として入社した場合のキャリアの方向性は、社内で専門性を深めるルートと、他の製薬企業・CROへのステップアップという2つに大きく分かれます。
安定した年収水準にある一方、主力製品の後発品参入という事業構造の転換点を理解したうえでのキャリア設計が重要になります。
キャリアパスと今後の成長機会
第一は、社内での専門性を深めるルートです。
循環器・産婦人科・皮膚科などの重点領域や、肺動脈性肺高血圧症治療薬MD-712・月経困難症治療薬MD-352といった開発パイプラインに携わりながら、プロジェクトマネジメント層へステップアップすることで、着実に年収を積み上げていけます。
第二は、他の日系製薬・CROへのステップアップです。
中堅製薬企業での開発経験や、レクサプロのような導入品に携わった経験は、他の製薬企業への転職でも一定の評価を得やすい傾向があります。
日系中堅製薬企業の年収・社風を比較したい方は、小野薬品工業の評判・年収の記事もあわせてご覧ください。
小野薬品もオプジーボという大型品への依存度の高さが課題とされており、主力製品の構成をどう見極めるかという観点で参考になります。
向いている人・向かない人
向いている人:
- 安定した年収水準の中で、腰を据えて専門性を積み上げていきたい
- 上場企業でありながら創業家の色が残る、堅実な社風に違和感を感じない
- 子育てとの両立など、ワークライフバランスを重視したい
- 事業構造の転換期にある中堅製薬企業でも、前向きにキャリアを築ける
向かない人:
- 「リバロの会社」といったイメージだけで応募先を判断してしまう
- 主力製品の後発品参入というリスクを確認せず、安定一辺倒の会社だけを求めている
- 20代のうちから大きな裁量・スピード感のある環境で成長したい
- 英語力に関する明確な足切り基準がないと不安に感じてしまう
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特に主力製品の構成が変わりつつある会社は、公開求人だけでは組織の実態が見えにくいため、エージェント経由での情報収集が重要になります。
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持田製薬に関するよくある質問
持田製薬は「リバロ」の会社ですか?
いいえ、正確ではありません。リバロ(ピタバスタチンカルシウム)は興和株式会社が創製・販売する製品です。持田製薬はかつてリバロの後発品を扱っていましたが2021年に販売を中止しており、現在の主力製品はレクサプロ・リアルダ・エパデール・ディナゲストなどです。求人情報やまとめ記事で混同されることがあるため、応募前に公式サイトの製品情報を確認しておくことをおすすめします。
持田製薬は非上場企業ですか?
いいえ、持田製薬は東証プライム市場に上場している企業です(証券コード4534)。ただし筆頭株主が創業家系列の財団(公益財団法人持田記念医学薬学振興財団、16.05%)であり、創業家メンバーも経営陣・主要株主に名を連ねているため、上場企業でありながら実質的な同族色が強いという特徴があります。
持田製薬にCRA未経験から転職できますか?
開発職の中途採用は経験者中心である傾向が一般的です。口コミベースの開発職年収も724万円前後と業界平均を上回る水準であることから、未経験からの直接応募よりも、まずCROでCRAとしての経験を積んだうえで、持田製薬のような日系中堅製薬企業へのステップアップを狙うルートの方が現実的といえるでしょう。
持田製薬の将来性はどうですか?
主力製品であるレクサプロ・リアルダに後発品参入が近づいている点はリスクとして押さえておく必要があります。一方で、これまでもエパデール・トラムセットの特許切れを「多数の小型品」への転換で乗り切ってきた実績があり、直近の四半期決算でもグーフィス・モビコール・ユリスなどの新製品が売上を牽引しています。肺動脈性肺高血圧症治療薬MD-712をはじめとする開発パイプラインの進捗も、今後の成長性を見極めるうえで注目しておきたいポイントです。